わたしからあなたへ~学校司書のよろず日記~

日々の事、本の紹介や学校図書館にまつわる事など、よろずの事を綴っています。

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『かたづの!』 中島京子(集英社)

実在した女性大名をモデルにした、中島京子さん初めての「歴史小説」であり、「ファンタジー小説」。

中島さんは、母校の史学科研究室を訪ねた際、一冊の研究誌を手にします。その中に、「江戸時代に実在した唯一の女性大名として、遠野の清心尼がある」という記述を見つけるのです。

それ以来、その女性大名に惹かれ、神秘的な遠野に導かれるように取材を重ねて執筆されたそうです。

本書は、祢々(後の清心尼)と心を通わせた、一本しか角を持たない羚羊(かもしか)が語り手となって、読者を歴史とファンタジーの世界へと導いてくれます。


領主であった夫と跡を継ぐはずの息子を亡くし、悲しみの淵から女亭主になる道を選ぶ祢々。大変な悲しみを体験した彼女がやったことは、「いまが辛くても、先に控えるもっと醜いことを避けるためなら、いま辛い方を選ぶ」ということでした。

血を流さずに、粘り強く交渉していく事を説く姿は、確固たる信念を持つ平和主義者。彼女はそうして男社会の中でリーダーシップを発揮していきます。

そんな清心尼に困難が降りかかったとき、力を貸してくれるのが「かたづの」や「河童」という不可思議な存在で、史実と共に伝説や伝承がたくさん織り込まれています。

語り手である一本角の正体や河童の起源、本来は必ず死ぬ定めでありながら、死ぬことができずに化け物と化した動物・経立(ふったち)、妖術を使う猫、牛に変身した強欲な百姓、十和田湖の大蛇、座敷わらしなど東北地方に古くから伝わる様々な伝承があちこちに散りばめられています。
今、巷で流行っている妖怪もどきとは違う、本物を楽しむことができるのです。

わたしたちは、本書によって、女性大名がいかにして誕生し、領土を守り、領民に平穏をもたらしたかという人の歴史と、その背景にある自然の歴史を知ることができます。

そのうえ、現代人が失いかけているであろう「不思議や神秘を感じる能力」を取り戻してほしいという著者からのメッセージも受け取る事ができるのではないでしょうか。

歴史好きはもちろん、わたしのように昔話や伝説が好きな人にはたまらない作品です。
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Author:象を抱く人
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